ロンドベルは拠点とするべくルウム戦役後の暗礁宙域へと向かっていた。
そこには破壊されたコロニーや戦艦の残骸などが大量に散乱し、必要な物資や拠点も確保できるはずだった。
そう、彼らは知っていたのだ。後の時代に「茨の園」と呼ばれるジオン残党の拠点となるものが存在していることを。
果たして、それは史実どおりに存在していた。動力も生きており、少し手を加えるだけで拠点として機能しそうだった。
その時、ジオン軍のパトロール艦隊接近の報が入り、彼女らはジェガンで出撃する。 今、ここを発見されるわけにはいかなかった。
ザクⅡやムサイはジェガンの敵ではなく、アクシズの戦いでニュータイプとして覚醒しつつある彼女たちは苦も無く勝利する。
撃破したザクの中に、白いパーソナルカラーの隊長機があった。脱出したパイロットを保護し、拠点へと連れ帰る。
それは一年戦争史にその名を残すエースパイロット「シン・マツナガ」であった。 ジオン独裁を目論むザビ家の次男ドズル・ザビの友人であり、ジオン屈指の強者。今はルウムで戦艦を撃破した功績で少尉になったばかり。
彼はロンドベルの存在を知り、彼らが未来からやってきたことを告げられる。
あるはずのない「ジオンではない」モビルスーツ。詳細なこれからの歴史記録。
彼は信じるしかなかった。信じた上で、この先ジオンが辿る歴史を回避し、ドズルの運命を変えなければならない。
シン・マツナガはロンドベルへ参加することを了承した。
だが、ひとつ。ラーチャターに所蔵されていた歴史記録の中に、彼の知る大事件のいくつかが記されていなかった。
特にあの南アタリア島へのマクロス落下事件。
巨大な異星人の戦艦であるマクロスは、人類に巨人型異星人の存在と、星間戦争の事実を告げた。
マクロスのテクノロジー、通称OTM(オーバーテクノロジーオブマクロス)を使うことで、巨人よりも大型の人型兵器モビルスーツの開発に成功。
その一連の歴史が欠如していた。どうやら、ここは単純に過去の世界というわけではなく、並行世界という側面も併せ持っているようだった。
であれば、この歴史の改変も不可能ではないかもしれない。ロンドベルの知る世界とは違う世界である可能性がある以上は。
そんな中、新たな戦闘を確認する。それは正史では行われていない大規模な戦闘の光景だった。
データにない勢力同士の戦闘。それは一体なにを意味するのか、ここは本当に並行世界なのか?
謎が謎を呼び次回へ続く。
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